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[[第24回研究会>024]] *裁定取引へのリベートは流動性を向上させるか?-人工市場によるシミュレーション分析- [#j24a9f08] **著者 [#fa57a53f] 水田孝信(スパークスアセットマネジメント) **概要 [#f95bd8a8] 通常,株式の売買を行った投資家は取引所に手数料を支払う.しかしながら近年米国を中心に,対当する注文を待っていた注文(指値注文,メイカー)側にリベート(負の売買手数料)を支払い,対当させた注文(成行注文,テイカー)側から手数料を取る,``メイカー・テイカー制''とよばれる手数料体系をとる取引所が増えている.流動性を供給するメイカー側にリベートを差し出すことにより,流動性を供給するインセンティブを与え,より多くの流動性を供給してもらうのが目的である.しかし,その効果やメカニズムはどのようなものかは分かっていない.そこで本研究では,人工市場(金融市場のエージェントベースドモデル)を用いて,リベートも含め,裁定取引にかかるコストが流動性に与える影響を分析した.その結果,ボラティリティよりコストが小さければ裁定の機会が訪れやすく,裁定エージェントの売買が増え,ETFと株式の価格の乖離が小さくなることが分かった.また,コストがマイナスになっても大きな変化が見られなかった.このことは,手数料をとられるかリベートを受け取れるかの違いは,コストがボラティリティに比べ高いか低いかに比べ,重要ではないことを示している.さらに,売買数量にかかわらず注文数量を一定にした場合は,株式の売買量と板の厚さは負の相関となり実証研究とあわなかった.一方で,売買数量の増加に応じて注文数量を増やした場合は,株式の売買量と板の厚さは正の相関となり実証研究と整合的な結果が得られた.このことは,売買の量が増えればより多くの量を注文する投資家の存在が,流動性の統計的性質を決める重要なメカニズムである可能性を示している. **キーワード [#c3f54ab2] リベート, 裁定取引, HFT, 人工市場, エージェント・ベースド・モデル **論文 [#q92453fd] //(3月11日以降に公表いたします) &ref(04_SIG-FIN-24.pdf);