021-01

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[[第21回研究会>021]]

*水平株式保有するパッシブファンドの増加が企業間競争と市場価格へ与える影響--人工市場によるシミュレーション分析-- [#ided4f26]

**著者 [#b11e553b]
水田孝信(スパークス・アセット・マネジメント)

**概要 [#s62e16d5]
近年,投資ファンドがある業界のすべての企業の大株主となる"水平株式保有"(horizontal shareholding)(または"共同保有"(common ownership)ともよばれる)が,公正な企業間の競争を阻害し,産業の発展を妨げているという主張が増えてきた.通常投資家は,保有している企業が競争に勝ち企業価値が上昇することが自身の利益につながるため,企業の経営者に競争を促す.一方,業界のすべての株式を保有している投資家は保有する企業間が競争することによって,たとえある企業が競争に勝っても競争に負けた方の企業も必ず保有しており,その企業の価値下落によって損失もこうむるので競争を促す動機がなく,むしろ商品の販売価格を維持する方が利益になることすらある.

水平株式保有はさまざまな投資戦略のファンドで起こりえるが,日経平均株価などの指数(インデックス)と同じ収益を得られるようにインデックスを構成する銘柄と同じ銘柄を保有する``パッシブファンド''はほとんどの場合水平株式保有を行ううえ,近年急速に投資資金が増えているため,特にパッシブファンドによる水平株式保有が大きな割合となっており,大きな議論となっている.米国においてはパッシブファンドの運用会社は上位3社による寡占が進んでいるうえ,全上場企業の4割以上の企業の筆頭株主が実質的にパッシブファンドの運用会社で,パッシブファンドが全体の約15\%を保有し,多くの企業の上位株主が重複しているという状況になっている.米国航空業界では上位株主の多くが重複しており,この水平株式保有による企業間競争の阻害の効果で航空運賃が3%から7%ほど高くなっていると見積もった実証研究もある.このような状況はすでに反トラスト法(日本でいう独占禁止法)に違反している状況である恐れがあるという主張すらある.

そこで本研究では,人工市場モデルを用いてパッシブファンドの増加が企業間競争と市場価格へ与える影響を分析した.その結果,パッシブファンドの割合がさほど大きくなくても,競争を阻害する可能性を示した.また,競争に勝った企業の市場価格が増加したファンダメンタル価格以上に上昇して割高となり競争を促す株主が離れて競争力を弱くする一方,競争に負けた企業の市場価格が減少したファンダメンタル価格よりさらに下落して割安となり競争を促す株主が増え競争力を強くして,企業間競争のバランスをとるメカニズムが存在する可能性があることを示した.パッシブファンドの増加はこのようなメカニズムを弱める恐れがあると考えられる. 

**キーワード [#nc64dc16]
パッシブ運用,独占禁止法,人工市場,エージェント・ベースド・モデル

**論文 [#wbc46617]

(10月17日までに公表いたします)
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//(10月17日以降に公表いたします)
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