SIG-FIN-018-01

2017-03-21 (火) 11:15:40 (69d) | Topic path: Top / SIG-FIN-018-01

第18回研究会

人工市場シミュレーションを用いたバッチオークションの分析

著者

水田孝信(スパークス・アセット・マネジメント株式会社),和泉潔(東京大学大学院 工学系研究科)

概要

近年,取引市場同士の競争や投資家の要望などにより,取引市場のシステムの高速化が進んだ.取引システムの高速化により,流動性を供給して利益を得るマーケットメーカー戦略の注文量が以前より増え流動性が向上したという評価がある一方,投資家同士の取引のスピード競争を招き,その競争のために費やされたシステムコストは他の投資家に転化されるという批判がある.高速な取引の優位性を無効にする取引方式としてバッチオークション方式が提案されているが,流動性を供給するマーケットメーカー戦略は損益のリスクが高くなるため継続することが難しくなり,流動性の供給が減ってしまい,むしろ投資家の取引コストが上昇する可能性があるという批判もある.本研究では,ザラバ方式とバッチオークション方式を比較可能な人工市場シミュレーションを用いて,マーケットメーカー戦略の損益のリスクを分析することによりその存続可能性を議論し,マーケットメーカー戦略がバッチオークション方式においても流動性を供給し続けることができるかどうかを調べた.その結果,板寄せ間隔が大きくなると,取引成立率が減少し流動性供給が減少する可能性が示された.さらに,板寄せ間隔が大きくなると,オーバーナイトのポジションをゼロにすることが難しい上にポジションも大きく価格変動リスクが大きくなり,リスクをおさえてマーケットメーカー戦略を継続することが困難になる可能性が示された.さらに,ザラバ方式のときのみ,リスクに見合った収益を得る可能性がある可能性が示され,バッチオークション方式のときは,少なくともザラバ方式では機能したマーケットメーカー戦略では,リスクに見合った収益をあげるのは難しくなる可能性が示された.これらの示唆は,ザラバ方式では流動性を供給していたマーケットメーカー戦略が,バッチオークション方式になるとその供給を維持できなくなり,それらが撤退することにより,流動性が低下する可能性を暗示しているとも考えることができる.

キーワード

人工市場,エージェント・ベースド・モデル,バッチオークション,取引所制度,金融市場規制

論文

fileSIG-FIN-018-01.pdf

添付ファイル: fileSIG-FIN-018-01.pdf 30件 [詳細]
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